貴方の見ているドメインは

ドメイン www.jszjhd.com

このページについて

    「なんだつて、脳溢血?――そいつあ大変だねえ」

    又走り出して、草の中に鼻を突つこんだ。が、今度はすぐもどつて来た。房一は緊張した表情をつくつて、その背をつかんでぐつと押した。

    次に記すのは、ほんとうの怪談らしい話である。

    「畜生、おぼえていろ。」

    「そんなことができるもんかねえ」

    「もう遅いんですよ、おぢいさん。泊つてつたらどうです」

    と、小谷が徳次の足に目をつけて云つた。どこで手に入れたのか、徳次は白い紙緒の藁草履をちやんとはいていた。

    「あゝ、よからう。大賛成ですよ」

    房一が道平を送つて行くことになつた。

    「それからね」

    どこかで、「営林署だ」といふ声が聞えた。そして、黒い人影は左手へ向けてぞろぞろと走つて行つた。何か叫び声のやうなものがその方で起つていた。

    「もはやお膳も据ゑていたゞきましたし、これで十分頂戴いたしたも同然でありますから、甚だ失礼ながらお先きに御免を蒙ります」

    「うん、ドイツ兵の捕虜だ」

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40